Minimal 新サブスクのUX〜サービス開発背景について
このnoteはMinimalが21年10月に発表した新しいサブスクリプション サービス「CHOCOLATE ADDICT CLUB」についての解説noteです。
サービス詳細及びお申込みはこちらからどうぞ↓
月に一度の、偏愛を。
職人が生み出す“新しいチョコレート体験”を、
毎月ご自宅にいち早くお届けします。
カカオとチョコレートへの偏愛を
たっぷり詰め込んで。
とてもありがたいことに初期想定枠数は発売から6時間で完売し、一定量の期待・評価をいただけたのではないかと思っております。
今後も製造チームと相談しながら随時追加枠をご用意できるよう努めてまいります。
さて、では早速本題に入りたいと思います。
Minimalにはどんな課題があり、それに対してどう考え、このサービスのリリースに至ったのか。
そしてそこにどんな思いが込められているのかを解説していきたいと思います。
旧サブスクサービスから見えた深い課題
Minimal初のサブスクリプションサービス(終了済)。
月に3枚の板チョコレートが届く「カカオツアー」について。
これは「毎月旬な板チョコレート3枚を厳選しお届けする」というサブスクサービスでした。
今回リリースしたCHOCOLATE ADDICT CLUBはこのカカオツアーのアップデートでもあります。
カカオツアーを始めた3年前に比べて、Minimalがお客様にご提供できるものが焼き菓子やスイーツに広がりました。そのため、板チョコレートのみならず、Minimalが提供する商品を幅広く楽しんでもらいたいという側面は当然あります。
参考記事
能動的な変化が進化を生む!クラフトチョコ「Minimal」が店舗・ECともにコロナ禍でも売り上げを拡大し続ける理由――代表・山下貴嗣インタビュー
他方、このアップデートとは切り分けた論点として、カカオツアーを一定期間ご利用いただいたもののその後退会されたお客様から頂戴したアンケートにを1つずつ見ていくと、ここに学びがありました。
大きな傾向がふたつ。
①退会理由の60%は「食べきれない」
②次点は「休会しづらい」「退会しづらい」
月に3枚の板チョコレートが食べきれないという課題。
確実においしいものを作り上げられている自信はあるのに、なぜそうなるのか。
21年の7月に入社したばかりの新入社員のひとりが、以前カカオツアーを登録しており、アンケートと同様に「食べきれない」ことが理由で退会をした経緯があり、彼にもヒアリングをしました。
なぜ退会したのか。
以下、彼の文章の引用となります。
3,800円÷3=約1,300円
1枚1,300円の板チョコレートは日常的に甘いものを食べる習慣がない当時の私にそれなりの投資。
よって「ちょっと良い事があった日に食べよう」「ここぞ!という時に食べよう」と思うあまり、開封するキッカケを逸し、気づいたら次の3枚が届くということが続きました。
一度開封して食べ始めてしまえば、その美味しさと美味しさが提供してくれる幸福感から、一瞬で無くなってしまうこと自体はよくわかっていました。そしてそれを理解しているからこそ、カカオツアーに登録をしていました。
つまり、開封するキッカケさえあれば3枚の消費はなんというハードルにもなりえないのですが、当時の私には「チョコレートを開封するキッカケ」を自発的に生み出し、習慣化するには至りませんでした。
チョコレートの価値を高め、その価値を伝える。
実は、それだけでは不十分だったのです。
チョコレートを開封するキッカケを作る、そしてそれを伝える。
価値の質を高めるだけではダメなのだというある種、当たり前の商売における課題に気付かされることになりました。
Minimalのチョコレートに心を救われたという話
ここで先程登場した新入社員の方のエピソードをもうひとつご紹介いたします。
彼はコロナの影響にてステイホームで働いていた当時、まだ別の会社に所属していたのですが「Minimalのスイーツに心を救ってもらった」という経験があったそうです。
それはなぜか。
彼の文章を以下にそのまま引用します。
一日中家にこもって仕事をし、誰かと話をしても快適とは言い難いWEB越し。閉塞感からか、一緒にステイホームで働いている妻とも徐々に会話が減ってきて、どうにも離れ小島にいるような感覚から抜け出せない。
そんな日々の中である日twitterを見ていて衝動買いしたMinimalのスイーツを一緒に食べようと声をかけ一緒に食べたらとても盛り上がり、とても良い時間を過ごせました。
この体験にとても救われたと同時に反省をしました。
離れ小島にいるような感覚は、私が自ら作っていただけなのでは?と。
大体の物事は自分から動くことでしか解決しません。
当時の私にはその感覚がどこかなかったように思います。
自分の機嫌を自分で取ることができるのは大人の特権だと思います。
自分の機嫌を自分で取っていることができていれば、自分にも近くにいる人にももっと優しく接することができる。
そしてそれを大切な人と分け合えば、それがもたらす幸せが笑顔と会話を生み出してくれる。
私は妻と毎日、笑い合っていたかった。
でも、できてなかった。
そんな私を、Minimalが助けてくれた、という気持ちがあります。
有無を言わさぬ圧倒的な美味しさは、私たちを強制的に幸せにしてくれる。届くまでのワクワク感。食べると溢れる多幸感。
そしてそれを誰かと共有することで生まれる楽しい時間。
これはすごい価値だし、ありがたいなという気持ちでした。
入社を決めたキッカケのひとつでもあります。
ここまでの話を整理してみる
話を戻しましょう。
ここまでしてきた話を順に整理すると
①開封するキッカケという課題
②板チョコレート以外にも広がってきている商品ラインナップ
③チョコレートが持つ本質的な価値=おいしさ=幸せの提供
④幸せは自分と周りを笑顔にする=自分と周りが笑顔であることが幸せ
ということが言えます。
②③については代表の山下が日経COMEMOの連載noteで補足しておりますので良かったらご一読くださいませ。
Minimalでは「狭↔広」は経営の問題、「浅↔深」は技術の問題だと解釈しており、この点については引き続き向き合い続けていく所存です。
■これまであまり着目できてなかった課題ふたつ
④幸せは自分と周りを笑顔にする=自分と周りが笑顔であることが幸せ
<解決策>
ものづくりにこだわるチョコレートブランドとして、どこにどうこだわり、その結果どのような価値となったかについては一定量の発信及びコミュニケーションをしてきたのですが「どのように使って頂くか」というライフスタイル軸に寄った発信は特にしてきていませんでした。
チョコレート及びスイーツが持つ価値はただおいしいということのみならず、誰かにとっては会話のキッカケであったり、誰かにとっては気分を切り替えるスイッチであったりと、価値に対する効能はそこまで焦点をあててきておらず、具体的な提案もできてなかったと認識をしております。
①開封するキッカケという課題
<解決策>
②③が圧倒的にレベルアップし、④にて使い方や効能についてのご提案が噛み合ってくれば、多種多様な「開封するキッカケ」を提供できるのではないかと考えました。
また上記②③のレベルアップにて「ワクワクが高まった結果、届いたらすぐに食べてしまいたい」という気持ちをつくることができれば、それだけでももしかしたら解決してしまうかもしれません。
他方、全く別の問題もブランドとして抱えています。
それは「大量に作れない」という問題です。
具体的には人と場所の問題です。
CHOCOLATE ADDICT CLUBのページにも下記のように記載しておりますが、
情熱を持つ一方で、品質が高いものを仕入れること、
それを使って新しいチョコレートスイーツをつくることは、
全て手仕事で行う必要があり、かつ手づくりであったとしても
一部の限られた職人しか実現できないものが多いのもまた現実です。
それがゆえにこれまでになく美味しく、
見たことがないほど新しい意欲作はあまり多くの数量はつくることができません。
これはブランドとして大きな課題と捉え
ブランドとしては非常に重大な問題だと捉えております。
特に新作に関しては顕著で、LINEで新商品の告知を行うとすぐ完売してしまうという状況が続いており、お客様のニーズに快適に完璧にお応えできていない現状があります。
※人気過ぎる!ということではなく、弊社の製造量の問題と捉えております
そこで、人気が定着した定番スイーツについては、欠品しにくい仕組みなどを検討し導入してまいりました。
行ったことは主に製造工程と配送オペレーションの見直しです。
ただ、これだけでは問題の解消にはなっておらず、継続課題です。
UX観点から課題を解決するやり方を考える
UX=ユーザーエクスペリエンスの略称ですが、
ユーザーが物やサービスに出会い、その内容を理解し、購買し、使用する一連が極めて快適(ハードルがない)でかつ、その物やサービスがユーザーを豊かにしているか
と解釈しています。
※人により異論はあるとは思いますが一旦この定義で進めます
というわけで、Minimalが「ハードルの課題」と「提供価値」について改めて整理します。
<価値>
・届くまでのワクワク感、食べると溢れる多幸感
<追加効能>
・それを誰かと共有(一緒に食べる・SNSで共有する等)することで生まれる楽しい時間
・自分の気持ちを切り替える・上げるためのスイッチ
<獲得ハードル>
・LINEでの販売開始告知時間に購買行動が取れない場合がある
・売り切れでそもそも購買ができない場合がある
・サイトにアクセスして自分に適したものを選び購入するという手間
・送料がかかる
一定の価値があり購買意欲が高まっているにも関わらず特定のハードルがあって離脱・非購買ということになるのはECではよくあります。
100人のアクセスがあったら1人しか購買に至らないのが一般的なECのおおよそです。
これはマーケティング用語で「ファネル」と呼ばれるものの一部でありますが、これは要するに「知り・興味を持ち・検討し・サイトや店に訪問し・購買する」という過程でたくさんの人数が離脱することを表しており、「じょうご」の形をしていることからファネルと呼ばれるものです。
Minimalはこれを可能な限り「土管」状にできないのか?ということについてとても関心があります。
認知層はともかく、興味関心を持ってもらってから購買までの人数がほぼ目減りせず、ストンとした図形=土管状になっている状態です。
理想論なのはもちろんなのですが、これに可能な限り近づけるという姿勢が重要でもあると考えております。
そのためには
①知って頂くべき人にのみ知って頂くこと
②その人の気持ちをしっかりと揺さぶり、購買意欲を掻き立てること
③その人の購買行動ストレスをなくすこと
④ブランド体験を習慣化してもらうこと
この3つが最低限必要です。
今回のサブスクはこの理想の実現のための第一歩。
「自社検討層のファネルを土管化できないか?」
という取り組みになります。
つまり、
一定の興味関心があり、その価値を求めてくださる人に対して
<ハードル>
・LINEでの販売開始告知時間に購買行動が取れない場合がある
・売り切れでそもそも購買ができない場合がある
・サイトにアクセスして自分に適したものを選び購入するという手間
・送料がかかる
これらのハードルを取り除き、ストレスなく=快適、かつ期待に誠実に応えることができるサービスの提供の検討、です。
これらのハードルは一言で言うと
「買いたいのに買えない/買いたいけど面倒」
という事になるかと思います。
そして価値についてももう一度整理します。
<価値>
届くまでのワクワク感、食べると溢れる多幸感
これの実現には
①圧倒的に高い期待値を作り
②それに完璧に応える実感値を叩き出す商品(及びコミュニケーション)を作る
ことがマストになります。
先程、CHOCOLATE ADDICT CLUBのページ内文言を一部引用しながらも、最後の一文が不自然に切れていたことにお気づきになりましたでしょうか。
先程引用したのは以下の文章です。
情熱を持つ一方で、品質が高いものを仕入れること、
それを使って新しいチョコレートスイーツをつくることは、
全て手仕事で行う必要があり、かつ手づくりであったとしても
一部の限られた職人しか実現できないものが多いのもまた現実です。
それがゆえにこれまでになく美味しく、
見たことがないほど新しい意欲作はあまり多くの数量はつくることができません。
これはブランドとして大きな課題と捉え
実はこの下に、こう続きます。
生み出された希少な意欲作を欲してくださる方には確実にお届けしたいと考えております。
ハードルを取り除いたとしても、圧倒的価値が練り込まれている商品を「大量に」生み出すことが私たちにはまだできません。
そうなると「私たちの価値を求めてくださる人に確実にお届けできる仕組み」が要件として併せて、必要となってくることとなります。
つまり
・ハードルを取り除くこと(買う手間・送料等)
・求めてくださる方に確実に届けること
が必要要件と考えました。
が、必要要件だけでは価値が高い(=気持ちが揺さぶられる)とは当然言えません。
そこで、サービスの価値を高める&それに対するお客様の期待値を高めるために職人の思考・実行リソースをこのサービスに最優先投入することで「他と比べて非常に圧倒的に美味しい(幸せ)商品はこのサービスでしか手に入らない」という設計にすることにしました。
それに加えて、習慣化という論点への対応。
ここまで考えると、やるべきこと/やれることの選択肢は自然と絞られます。
よって、Minimalはこれら要件を満たす唯一の道筋として、このサブスクリプションサービスのリリースに至りました。
基礎設計は以下の通り。
「CHOCOLATE ADDICT CLUB」3つの魅力
①Minimalの最新作・限定品が毎月確実に手に入る
Minimalの最新作・限定品をいち早く確実にお手元に。
これまでない新しいチョコレート体験をお届けいたします。
②「買う」という手間を省ける
発売後すぐに売り切れてしまうMinimalの新作。
新作が出るたびに購入していただく手間を省けます。
③送料無料
月額は税込3,980円。
送料無料でお得にMinimalのチョコレートをお楽しみいただけます。
また、自分たちが持っている仮説が世の中の感情とズレていないか、調査をしてみました↓
■調査内容まとめ
この調査から、これまでの仮説と世の中がそこまでズレていないという確信を得ると共に、コロナ禍で大切な人に会えない、外出ができないなど、多くのストレスを感じる中で、
上質スイーツのサブスクサービスによって「月に1回、ワクワクする日」を作ってみてはいかがでしょうか?
また、それを大切な方に会いに行くキッカケにしてみませんか?
とご提案することはしっかりと力を入れていくべきだと判断しました。
本質的に提供したい価値とは
「月に一度、強制的にワクワクする日を作る」
提供したいのはこの価値です。そして、
「そのワクワクを誰かと共に楽しみ、その人との関係をより豊かなものにする」
ということにも、是非ご活用頂ければと考えております。
これを実現するために、惜しみない偏愛とそれを実現するに必要なリソースを、CHOCOLATE ADDICT CLUBに最優先で投入してまいります。
(ようやくアフターコロナも見えてきましたし)ミニマルのサブスクが届く日に友達を家に呼ぶ/ミニマルのサブスクを持って友達に会いに行きませんか?
社内の人間が言っても嘘臭く聞こえるかもしれませんが、CHOCOLATE ADDICT CLUBでお届けするチョコレート・スイーツはMinimalのビジョンである「新しいチョコレート体験を作る」をしっかりと体現することを、お約束いたします。
蛇足ですが、2月お届け予定の「22年度版Works」は完全に採算度外視です…(笑)
(参考)21年度版Worksはこちら ※販売終了済み
また、CHOCOLATE ADDICT CLUBを食べている様子などを、是非TwitterやInstagramなどのSNSに投稿して頂けると嬉しいです。
初回お届けには↓このようなステッカーも付いておりますので是非届いたスイーツと並べて撮ってあげてください!
皆様の投稿に対して、公式アカウント(経営層のアカウントも?)が御礼をして回りますので、そこでまた是非色々とお話をさせて頂ければ幸いです。
ハッシュタグは
#chocolateaddictclub
です。
では、長くなりましたが、皆様の「チョコレート中毒部」への入部を、お待ちいたしております(笑)
ハッシュタグ #chocolateaddictclub でまたお会いしましょう。
それではまた。
CHOCOLATE ADDICT CLUBのお申し込みはこちらからどうぞ。