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口コミされる“感動”と“言語化”の体験設計

MinimalのUX、第3回は口コミを生む体験設計についてです。

Minimalの富ヶ谷本店は先日のnoteでご紹介した通り、お客様と対面でゆったり話せるようお店の幅いっぱいにカウンターを設けています。

その理由は 「絶対にまた来たい!」と思うほどに感動してもらいたいからなのですが、この感動がさらには口コミに繋がっていると実感しています。

しかし、口コミをしてもらうには感動だけでは足りないこともわかりました。

「なぜ美味しいと思うのか」
「自分は何が好きなのか」

お客様自身が言語化できることも重要なのです。

お客様が感動して、それを自分の言葉で語れる状態になる。このようなお客様の記憶に遺るような接客のおかげで、2014年の創業から最初の3年はプロモーション費をほぼかけずに集客することができました。

さらに口コミが口コミを呼び、広告費をかけずに2014年から2017年までで1,000を超えるメディアに掲載をしていただきました。現在、MinimalではSNSも含めた口コミが実店舗の来店理由の6割を占めています。

プロモーションが不要になれば、良い商品・良いサービスを届けることにお金をかけることができるので私達としてはとても嬉しく、願ったり叶ったりです。

今回はこれらの「感動」と「言語化」の二つを軸に、Minimalの口コミを支える体験設計についてお話しします。

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ワインからヒントを得た、“感動”の生み方

そもそもなぜ口コミを重視するかと言えば、私達のように目新しい商品に興味をもってもらうには、信頼できる友人・知人の口コミが一番良いきっかけになると思うからです。なので口コミの有無で、同じ「100個売れた」という事実でも、その後の広がり方は異なります。

Minimalが作るスペシャルティチョコレートは、豆の加工からチョコレートを作るBean to Barスタイルのチョコレートです。カカオ豆の産地の違いや製法の違いによってバリエーションを味わえる、いわばワインやコーヒーのような嗜好品です。

それゆえに私達が考える体験のベースには、ワインなどを思い出していただけるとわかりやすいと思います。

ワインには、産地やブドウの種類、年代など、数えきれないバリエーションが存在します。そんな多くの選択肢から、料理や気分など自分にぴったりのワインに自力で出会うのは、よほどの知識がない限り容易ではありません。

なので自力で新たにワインを選ぶとなるとちょっと外しがちで、「こんなもんかなぁ」と思ってしまうもの。

そんな体験がよくあるからこそ、

「今食べてる料理にぴったり!」
「こういう気分の時って、こんなワインが合うんだ!?」

となるようなワインとの出会いは、満足を超えて感動すらもたらしてくれます。

そんな自分にぴったりのワインは、もし自分で探すことが難しくてもソムリエさんや知識豊富な店員さんが出会う機会を提供してくれます。その時に、自分が美味しいと思ったワインについて味や産地、飲み方についてもいろいろ教えてくれるでしょう。

そうして「なぜこのワインが美味しいと思うのか」について得たヒントをもとに、自分に合う次のワインに出会えるという再現性も生まれます。

たとえばレストランで「あ、これ美味しい」と思ったワインが「軽やかでチャーミングな味わい」という表現であると知ったとしましょう。それがブルゴーニュ産のピノノワールに多い傾向があるとも教えてもらうことが出来ました。それがわかれば次また別のお店に行った時にも、自分の好みに合ったワインが飲めるでしょうし、さらには他と比較して自分の好みをさらに深堀りすることもできます。

自分の中にキーワードが遺ること。

これが嗜好品の体験をより豊かにする足がかりになるのです。

多様な商品に必要なのは、特徴が伝わりやすい“表現”

私達が作るBean to Barスタイルのチョコレート(クラフトチョコレート)も、ワインのようにさまざまなフレーバーのチョコレートがあります。

ビスケット、ローストアーモンド、コーヒー、キウイ、マンゴー、パイナップル、ココナッツ、青りんご、マーマレード、陳皮、ピーチネクター、レーズン、いちご、カシス、プラム、ラズベリー、木苺、ブルーベリー、プルーンソース、スイートポテト、イチジク、シナモン、クローブ、ドライミント、タイム、ハチミツ、メイプルシロップ、カラメル、サトウキビ、バラなど・・・

Minimalのフレーバーマップ

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このようにMinimalが作ったフレーバーのバリエーションは50種類以上で、カカオと砂糖だけで多彩な香り・風味を表現してきました。本当にカカオは香り豊かで多彩な素材です。

またMinimalのチョコレートもワインと同じように、ドリンクやフード、その時の気分によって合うチョコレートはかなり変わってきます。

そのため、お客様の好みに合ったものを提案できるように、板チョコレートの名前もナッツ風味なら「NUTTY」などの風味を連想できるようなものにしたり、フレーバー(Note)も「ローストナッツ」などのわかりやすい表現を心がけてします。

▼定番商品の板チョコレートのパッケージには商品名(例:SEASONAL)のすぐ下にNote((例:飴がけナッツのような風味)を記載しています。

▼下の写真の3種類のフレーバーは、下記のように風味の違いを実感しやすい組み合わせで、店頭でのご試食でよくおすすめしています。

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左:SAVORY(ドライミントのような風味)
右:NUTTY(ナッツのような風味)
中:FRUITY(果実のような風味)
※「場所:名前(風味)」という表記です

接客を通じて、感動と“ひとこと”を持ち帰ってもらう

冒頭でご紹介した通り、Minimal富ヶ谷本店は店舗の幅いっぱいに対面式の木のカウンターをご用意しています。このようにしてるのは、スタッフとお客様が店内のどこにいてもで気軽にコミュニケーションをするためです。

一般的に小売りでは接客時間が長いことを良しとしない、いわゆる回転率が重視されます。けれど私達は一人一人のお客様にじっくり向き合うための接客を積極的に行っています。

これは以前noteでお話したように、お客様に感動してもらい、「絶対にまた来たい!」と思ってもらうだけではありません。チョコレートの味わいを言語化する機会を提供したいからです。

なぜなら、どんなに感動しても「で、結局Minimalって何がいいんだっけ?」となってしまっては元も子もなく、

「Minimalのチョコはこういうもの」
「Minimalのチョコのここが好き」

という「ひとこと」をお客様に持ち帰ってもらいたいと私達は考えています。

そのためには先に述べた、自分にぴったりのチョコレートとの出会いで感動してもらえるよう、お客様の好みやニーズに寄り添った接客が重要です。

また、まだカカオの産地ごとに異なるチョコレートの風味の違いを体験したことのない方にとっては、実際に食べないことには自分の好みはわかりません。詳しい説明よりも先に、お客様に板チョコレートのご試食をおすすめしているのもこういった背景があります。

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提案型の接客が、お客様の“言語化”につながる

お客様にぴったりのチョコレートを提案するMinimalの販売スタッフには食の領域のプロを採用しており、北欧で腕を磨いたバリスタやソムリエ兼利酒師などのバックボーンを持つ人材が集まっています。

私達にとって、店舗の販売スタッフはお客様にチョコレートの魅力を伝えてくれる「Minimalのエバンジェリスト」です。彼らはコーヒーやお酒と同じように、会話や反応を通じてお客様の好みを引き出し、それに合うチョコレートやスイーツを提案してくれます。

また、彼らの提案は見方を変えればマッチングだけでなく「言語化」の側面もあります。

食に限ったことではないと思いますが、そもそも「自分がどんなものが好きなのか」「なぜ好きなのか」といった、自分の好みを言語化することはとても難しいことではないでしょうか。

そして言語化できないと立ちはだかるのが、「新しいものへのチャレンジの壁」です。自分の好みを分かっていないと、失敗が怖くてなかなか新しいものを試す気になれませんし、せっかくチャレンジしてもなんだかズレていてがっかり、ということがあると思います。

そういった「チャレンジの壁」を突破するきっかけが、先ほどの販売スタッフによる提案型の接客です。

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気分や好みの食べ物・飲み物の傾向など伺いながら、お客様に合うチョコレートを提案し、その商品の味わいや産地について販売スタッフがお話しする。このプロセスを通じてお客様は自分の好みを知ることができ、「次は●●●を試してみようかな」というアクションに繋がるのです。

具体的にMinimalで言うと、

チョコレートを試食してみる
 ↓
フルーティなものが好きだと分かった
 ↓
お店の人に「フルーティなものが好きです」と伝える
 ↓
類似した他のチョコレートもおすすめしてもらう
 ↓
比較検討
 ↓
より好きだと思ったものを購入

という変遷をお客様は辿るということです。

ですが、先ほども述べた通り、チョコレートの味の違いを楽しむというのはまだまだ馴染みがないことです。なのでフレーバーについてお客様がイメージしやすく・記憶に遺るように、私達は日ごろから味わいの表現についても研究しています。前述の商品名や香りの表現をわかりやすくするのもこれに当たります。

表現と言えば、たとえば2020年の7月1日からガトーショコラの品揃えが6種類に増えた代々木上原店では、食べないとわからない風味や食感の違いを、わかりやすく伝えるためにスタッフ間でディスカッションしてトークの内容を磨いています。

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また、チョコレートを口に含んでから後味までの違いを感じ取り、適切に表現できるよう、製造・販売・ビジネス各チームの全メンバーで、テイスティングのトレーニングに日々取り組んでいます。

まとめ:Minimalが実践する、口コミが生まれる体験設計のポイント

ここまでの話を要約すると、

・ゆったり話せるお店の立地
・気軽に話せる広いカウンター
・会話からお客様の好みを引き出す
・お客様にぴったりなものを提案して感動してもらう
・風味の特徴や背景を知ってもらう
・お客様自身が自分の好みを言語化できるようになる
・感動するから記憶に遺る
・言語化できるから人に話せる(口コミ)

これらがMinimalが実践する、「感動」「言語化」を軸にした、口コミを生む体験設計のポイントです。

この実店舗での体験が口コミを生み、2014年の創業から最初の3年はプロモーション費をほぼかけずに集客することができました。さらに口コミが口コミを呼び、1500件以上のメディア掲載もしていただいています。そして現在、MinimalではSNSも含めた口コミが実店舗の来店理由の6割を占めています。

しかしこれらは実店舗でのUX設計に過ぎません。オンラインでもリアルでの体験に匹敵するような接客を目指す、というのが今後チャレンジしたいことです。

富ヶ谷店のUX、まだまだお話ししたいことはありますが、今回はこのくらいで。次回もどうぞお楽しみに。

🍫

Minimal富ヶ谷店について

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・営業時間
  - 11:30~18:00 ※当面の間
  - 定休日無し
・住所
  - 〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9(Google Map)
・電話
  - 03-6322-9998
・アクセス
  - 東京メトロ千代田線 代々木公園駅:1番出口(八幡口) 徒歩6分
  - 小田急線 代々木八幡駅:南口徒歩6分

▼遠方の方や外出を控えたい方は、オンラインストアをぜひご活用ください。

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Minimal(ミニマル)は東京のチョコレート専門店です。世界中の産地を巡って仕入れたカカオから、職人が手づくりするチョコレートは国際品評会で4年連続・61賞を受賞。「MinimalのUX」をテーマに、私達が目指す最高の顧客体験について紹介したいと思います。

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