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Minimal の"人"起点のブランド戦略 Vol.3「”人”のこだわりや知識を可視化する」商品開発戦略

Minimalは、ものづくりに心血を注ぐブランドです。

そのため、Minimalというブランドのすべての起点になるのが「商品」です。そして良い商品とはお客さまに伝わった時に初めて良いモノとなります。

よってMinimalでは、いかに良い顧客体験(UX)と共にチョコレートを届けるかをブランド戦略の肝においています。

毎年バレンタイン時期に全3話でお届けしている、MinimalのUX戦略を赤裸々に語るnote。
最終回となる第3回は人を基軸にした商品開発戦略についてお話していきます。
※第1回はこちら
※第2回はこちら


ナレッジシェアとしての「Minimal Works」

Minimalでは年に一度、チョコレート作品集である「Minimal Works(9種・18枚入)」というシリーズを発売しています。毎年異なるテーマを定め、カカオと砂糖で9種の味わいを表現しています。

商品開発は、世の中の需要や顧客のニーズを汲み取り設定する(マーケットイン)ことが基本ですが、この「Works」シリーズは、Minimalの職人、パティシエ・ショコラティエがつくりたいチョコレートを「表現活動」として制作する商品です。

アートのように、職人が表現したいことを叶える作品とも言えます。

顧客の意見やニーズを汲み取って開発を行うマーケットインの考え方が主流のなか、このようにプロダクトアウトで商品を開発して販売し、売上を上げることができるのは、まさに”人”ありきになります。

Minimalのチョコレートの原材料は、基本的にカカオと砂糖のみです。カカオによって9種もの多彩なフレーバーを表現できるのは、カカオ豆に毎日毎日向き合い続け、今年で10年になる(Minimalを始める前をあわせるともっと)という職人の鍛錬があるからこそです。

カカオ豆の理解に対する解像度が上がってきた結果、ブレンド技術のレベルも上がってきたことからたどり着いた「作品」が今回の「Minimal Works:Blend」です。

この商品を事例にプロダクトアウトの商品をお客様に届けるための、“商品だけで終わらない”周縁サービスのUX設計について解説していきます。

キーワード1:味覚をビジュアル化するパッケージデザイン

「Minimal Works」は、作品を収める額縁のような(あるいはアートブックのような)豪壮な装いで、作品の熱量に見劣りしないデザインを施しています。

バレンタインシーズンに合わせて制作されるため、贈り物にも大変重宝されています。贈り物として一定のボリュームがあるよう、約215x280と大きさもあります。「SNS映え」や「開封の儀」を誘導するようなUXも織り込んでいます。

そして、全9種の板チョコレートを個包装する商品パッケージにも、直感的に風味や食感がイメージでき、それぞれの違いがわかるデザインを採用しています。

今年は、NUTTY(ナッティー)・FRUITY(フルーティー)・SAVORY(セイバリー)、という3ラインで表現を行いました。
 
NUTTY:渦巻き模様で口の中に溶けていくイメージを表現。色味はナッツの色彩。
FRUITY:弾けるフルーツの果実感を表現。
SAVORY:ツンと抜ける香りを直線で表現。清涼感の色彩。

UX的観点1:直感的にわかりやすいパッケージデザイン
難しい挑戦ではありますが、味わいや香りという食べた時のイメージをビジュアルで表現することで、食べる体験(UX)を手助けしています。見た目でぱっと手に取りやすく、さらに視覚的になんとなくイメージできるようなパッケージにすることで、ご説明がつい多くなりがちなこだわりつまった商品も、イメージしながら気軽に手にとっていただけることを目指しています。


キーワード2:情報満載の商品封入リーフレット

商品内には、全12ページ仕様の小冊子が封入されています。
商品解説を行う「公式読本」であり、詳細なインフォメーションデザインを毎年楽しみにしていただいてる方も多くいらっしゃいます。

サブスクリプションサービス(CHOCOLATE ADDICT CLUB)では会員限定で、公式読本を読み解くための「副音声解説」と位置付けたリーフレットも配布しています。

一つ一つの商品の込めた想いが多すぎて、ついお伝えしたいことが多くなってしまうのがMinimalの特徴ですが、そこまでやるか!と思う情報量です(笑)
商品ごとに情報量のボリュームをコントロールしているのですが、「Works」に関しては、意図的にその情報量の多く設定しています。

年に一度のシグニチャーであるからこそ、情報量は多く、そしてそれをわかりやすく伝えるかを意識して商品をつくっています。

情報量は、造っている職人達の意図や努力の量に比例します。
“あえて”Worksという商品では、その情報量を伝える、理解するというUXを設計していくことで、より多くの情報を知っていただき、「美味しさ」も「楽しさ」もより味わえるということに加えて、Minimalというブランドのものづくりへの姿勢や職人達への理解や共感が少しでも深まっていただければ嬉しいと考えているからです。

UX的観点2:“あえて“膨大な情報にふれていただく体験設計
Worksはその設計意図や職人技術を、9種類の食べ比べをしながら知っていただくという設計です。そのため、リーフレットでは普通は公開していない情報まで公開しています。食べ物においては食べても直感的に“美味しい”と感じる事がゴールでありますが、その補足として情報を知っていただき、頭でも確認していただくという顧客体験を意図しています。

キーワード3:体験型イベント

「Minimal Works」発売に合わせて、体験型イベント(テイスティング・ワークショップ)を実施しました。

特設会場を用意して、Minimalスタッフが対面でお客様とふれあい、直接「この作品集にかける思い」や楽しみ方・味わい方をお伝えすることで、「商品が完結する」と考えています。

実際のイベントはそこまで堅苦しいものではないのですが(笑)、和気藹々とお客様同士も感想を言い合いながら、フレーバーのテイスティングをしていただくことで「シェアする楽しさ」も体感していただけます。

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を考えたとき、フェイスtoフェイスによる「人が見える距離感」で接した体験は、非常に大きな力を持つと考えています。リアル店舗の運営から実感として得ている経験です。

イベントの様子がわかるレポート記事はこちらからご覧いただけます。

UX的観点3:体験型イベントも含めての商品
Minimalは創業からイベントをとても重視してきました。ブランドはファン創りであり、ファンコミュニティ創りであるという信念を持っているからです。ファンの方にとっては、造り手の想いを直接きける機会であったり、その会社の気配まで知っていただける機会になります。さらにファンの方同士がつながっていただくコミュニティ創りに最も効果的なコンテンツの一つでしょう。Webで何でも買える時代において、逆張りであるリアルなイベントをどう設計するかがブランドエクイティを高めていくために大きな役割を果たすと思います。

「Minimal Works:Blend 2024」
花火のように、様々な味わいが口の中を彩る”Blend”。Minimalではブレンドを”Like a Fireworks(花火のような)”と考えます。様々な色が集まってひとつの素晴らしい花火が完成するように、カカオ豆ひとつひとつの個性が組み合わさることで新しいフレーバーを生み出し、これまでにない表現を追求します。

【販売期間】2024年3月頃までを予定
【取扱店】オンラインストア・富ヶ谷本店・麻布台ヒルズ店・一部催事(サロン・デュ・ショコラ2024/阪急バレンタインチョコレート博覧会2024)

「Minimal の"人"起点のブランド戦略」というテーマで、この1年の活動を中心に振り返ってきました。

今年はMinimal10周年となる記念イヤーになります。たくさんの企画をご用意する予定ですので、その経過や背景なども今後お伝えできればと思います。
今後の試行錯誤も、ぜひご期待ください。

Minimalバレンタイン特集ページ

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