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今変えるべきブランドUXの話 -コロナ1年目と2年目の違い-(Vol.3 -最終回-)

コロナ禍という非日常が2年目に入り当たり前になり、明らかにお客様に購買習慣も変化したことで、「オンラインとオフラインを連携させてシームレスにブランド体験を充実させる」ための施策が求められるようになりました。

その変化を捉えながら、「コロナ禍2年目だからこそ、変えるべきブランドのUX」をテーマに全3話でお届けするMinimal奮闘記の最終回。

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コロナ禍は良くも悪くも時代を進めたタイムマシーン的な要素があります。洋菓子業界において明確な変化として「オンラインでスイーツを買う」という商習慣がお客様側に浸透した事です。

多くの業界においても、このEC化の流れは顕著で、その変化をどう捉えるかはそれぞれの会社によって違いますが、ここを無視は出来なくなっています。

デジタルが生活の中に浸透する事で何が変わるのかを見極める

コロナ禍で移動制限がかかる事は、世の中のデジタルツール浸透と相まって、お客様の生活や購買習慣を変えていきました。

上述したように、洋菓子業界における大きな変化は、「オンラインでの購買」が急速に日常化した事です。

コロナ禍の前を思い出すと、洋菓子やスイーツは、近くの洋菓子屋さんや百貨店、もしくは近くのコンビニなどのリアルな店舗で買うという習慣が大きく根付いていました。

その証左として、洋菓子の大手のEC化率はコロナ禍前は低く、多くはチャーンストアとして全国に多店舗展開するモデルで売上を伸ばしています。もちろん、その形式がなくなる事はありません。むしろ一つの勝ちパターンとしては残り続けるとは思いますが、Vol.2で触れたように店舗として提供する価値を変えていくことが求められる時代になってきています。

このようにデジタルが生活の中に浸透する事は概ね便利になることや、情報の非対称性を軽減すると言うことで消費者にとっては恩恵があります。一方で、今のところはデジタルでは視覚情報と聴覚情報がメインであるため、嗅覚、味覚、触覚を伴う購買体験に対して欲求は満たされません。
これがVol.2で触れたリアルな店舗での購買体験に対しての欲求に繋がっていくだと思います。

コロナ禍はデジタルでの情報をとることや、オンライン上で購買習慣という流れを加速させましたが、これはコロナがあるないに関わらず大きな潮流でした。
デジタルが当たり前になっ上での変化が商売やブランドにどのような変化をもたらすかを見極めることは、これからのブランドのUXを考える上で必須といえると思います。

まず何よりもブランドが対応しないと行けないことは、デジタル上での情報コンテンツを自らつくり続けることだと思います。

発信が出来るし、情報をお客様に気軽に届けられるようになったからこそ、ブランドが主体的に情報を発信しないといけません

UX的観点1:情報取得のリソースが多様化する事でのお客様変化を読み取る
今までは来店前のお客様はマスメディアなど限られた情報ソースからしか情報を取得が出来なかったため、ある程度少ないリソースからの画一的な情報が統一的に伝わっていました。一方で昨今は自社SNSや個人SNS、Web媒体など多様な情報リソースが存在するため、ブランドとして発信する際に、しっかりと伝える、伝わるコンテンツや情報の精査をしていく事と、多様なリソースから情報をとれるお客様に対して、事前にどんな期待があるのか、またどんな期待を持って頂きたいのかを考えていく必要があります。

デジタルの時代にブランドはコンテンツを自ら拡大再生産する事が必要

デジタルで情報をとったり、オンラインで購買をする習慣が当たり前になってくる時代において、大事な事はコンテンツのつくり続ける事だと思います。

正確にはコンテンツをつくり続け、きちんと発信をしていくことだと思います。

この時に、ブランドとして何を発信すべきかをきちんと決めておくことが重要です。

Minimalは食べる体験をもっと豊かにするために、商品の前後にどんな情報が合った方がいいかを考え続けています。

事例1:毎月メディア向けのプレスリリースを必ず1本以上発信する

プレスリリースというメディアの皆様への発信も毎月定期的に続けています。

プレスリリースを発信した実績を集計してみると、この半年間で26本ほどプレスリリースをだしていました。
内訳は、9月3本、10月7本、11月5本、12月4本、1月7本となってます。
(もちろん、チョコレートシーズンという繁盛期なので発信が多めと言うことはあります)

このリリース数が多いのかどうかはわかりませんが、毎月複数のコンテンツや話題を世の中やお客様に提供すべく、毎月必ずリリースを出すようにしています。

事例2:オンラインサイト上にJournalという自社コンテンツを毎月作成

オンラインサイト上にJournalという独自コンテンツ記事を発信するコーナー
があります。

商品の情報、ブランドのストーリー、カカオ産地での活動、スタッフの紹介など from Cacao Farm / Products / Event / from Staff / Minimal's Story & Report とコンテンツ章立てして更新しています。

月に平均3本~5本はこのJournalを更新しています。
実はバレンタイン前の22年1月は20本近くのJournalを投稿しました。
手前味噌な話ですが、内容は一つ一つなかなかの骨太な内容となっていますのでぜひご覧下さい。

その他にも今まさにお読み頂いているnoteも、「お客様体験をどのように設計しているか」という視点でブランドの裏側を発信しています。

UX的観点2:情報やコンテンツは量と質を両方が大事
お客様は多様な情報リソースから膨大な量の情報を受け取ります。その際にまずはお客様にとって有益な情報出ないと、そもそも見て頂いたり、反応頂けません。それに加えて、情報が氾濫している時代では、情報の頻度も大切です。適切な情報を適切なお客様に届けるには、質と量の両方の観点でブランドは対応を求められています。

コンテンツを枯渇させず作り続ける方法

実は、上記のリリースやJournal、noteなどは自社のスタッフが作成しています。潤沢な体制ではなく、2名体制で運用しています。しかも、2名ともコンテンツ作成がメインではなく、他の業務と兼務という体制です(笑)

体制的には脆弱ですが、上述しているようにデジタルの時代には、ブランドが常に発信できる新鮮な情報やコンテンツを作り続ける事が求められます。

では、常に新鮮な情報やコンテンツをどのように作り出せばよのか?
コンテンツは枯渇しないのか?
というのは、発信側の大きな不安であると思います。

私達Minimalチョコレートというブランドは上述したように、この半年間をみてもある程度の量を発信し続けています。
これはコロナ禍の2年目という2021年により強く意識をした結果だと思います。

実は、元々Minimalはデジタル上での発信というよりもリアルな店舗での情報発信や接客に重きが置かれているブランドであったと思います。

このコロナ禍の2年目でお客様の行動変化に合わせて、デジタル上での接点を増やす事に意図的に重きを置いた1年間でした。

良くも悪くもデジタルでの発信を強めていかないといけない世の中になったときに、コンテンツを生み出すために、ブランドとして、発信したいコアを決める事と、そのコア研ぎ澄ます努力をし続けることが求めれます。

実はこのコアを定めて、そこを磨くというプロセスこそがブランドには重要で、そのプロセスにおいて、コンテンツを無限につくり出すことが出来ると思います。

自社の強みや特徴であるコアを磨く→そのプロセスでコンテンツが出来るという好循環をブランドとして整備しなければなりません。

そのコアとは、Minimalで言えば「チョコレートを新しくする」というビジョンであり、そのために、

「カカオ農家との関係を新しくする」
「製法や風味を新しくすることで世の中にない新しいプロダクトを届ける」
「ブランドとプロダクトを取り巻く新しいチョコレート体験を提供する」

という3つのポイントを徹底的に磨き続けています

それぞれの切り口で、情報を整理して、コンテンツマップをつくって、優先順位をきめて、コンテンツ化して、発信を続ける事はとても大事です。

コンテンツを作り続ける時にMinimalで意識している点は、
・その情報やコンテンツがブランドとしてのコアからズレていないか?
・短期と長期の時間軸をいれてきちんとつくれているか?(特に長期を忘れていないか)

上記の2点を頭に入れて走りながらコンテンツを作成しています。

UX的観点3:情報やコンテンツの軸を一貫させ、イメージが形成する
お客様の立場に立つと、情報の量が増えれば増えるほど、ブランドに対するイメージがブレる可能性が高まります。もっというと、「このブランドの伝えたいことは何かわからない」となってしまうリスクもあります。大事な事は、量を投下してもブレないメッセージや軸が常にある事。どの情報に触れても、そこにブランドとしての軸が一貫している事が、ブランドのイメージを持って頂く上では重要になります。

短期的な成果をださないといけない状況の時こそ、長期視点を忘れない

ここまでに取り上げた、プレスリリースやJournalは、割と短期的なコンバージョンに直結しやすい情報やコンテンツ発信です。

コロナ禍の状況では多くのブランドが存続をかけて、短期的な売上に繋がる施策や発信を強めていると思います。

Minimalももちろんその視点を持っていますが、ブランドとしてのコアを磨き続けるという意味で言うと、「チョコレートを新しくする」というビジョンに向けて、長期視点も忘れてはいけません

事例1:沖縄でカカオ栽培を開始

10年先をみた取り組みですが、2021年7月にカカオ栽培を沖縄で開始しました。この取り組みには大きく2つの目的があります。
1.カカオ栽培のノウハウをため、農家にフィードバックし、質を高める事
2.将来的にカカオ農家の収入を増やせるように先端農業を実験する事

1の時間軸は3年~5年、2の時間軸は5年~10年と長期スパンの取り組みです。決して短期的な売上に繋がるものではないですが、きちんと将来の新しいチョコレート文化づくりを見据えての活動をしていきます。

事例2:JICAと共同で農家へのフィードバックセミナー

コロナ禍で海外に渡航が困難な状況ですが、コミュニケーションを忘れずおこなっています。その中でも、農家への直接的なフィードバックをJICAニカラグア事務所と共同して行いました。

日本に豆を送ってもらって、Minimalスタッフ達がチョコレートにして氷解して、チョコレートを送り返して、Webで繋いで一緒にティスティングするというセミナーでした。

実はチョコレートを送り返すのはとても大変で、そもそも冷蔵配送がありません。そして、なんとかニカラグアに到着したとほっとしたら、まさかのニカラグアの税関での通関が向こうの事情で全く行われず、3週間ほどチョコレートが税関で止まるというハプニングも・・・

紆余曲折をへて行ったセミナーの詳細は以下のレポートをご覧下さい。

農家との長期的な関係性を大切に活動を続けています。

事例3:カカオハスクを鶏のエサに再利用するアップサイクルな取り組み

カカオ豆の外皮「カカオハスク」は、カカオ豆からチョコレートを製造する工程で必ずでるものでした。
廃棄が前提となるものですが、Minimalではこれまでも地球環境に優しくなることを考えて、ハスクを廃棄せず紙に再利用したり、ハスクからお茶をつくってみたりとアップサイクルな取り組みを試みてきました。

そんな中、「おいしい」「安全」を追求し、ミシュラン星付きレストランなどにも使用されるたまごをつくる田中農場に、通常廃棄するカカオ豆の外皮「カカオハスク」を飼料として無償で提供する取り組みを10月から開始しました。

慣習として当たり前に廃棄していたものを、SDGsの「つくる責任 つかう責任」にあるように、Bean to Bar チョコレート専門店だからこそ行えるサーキュラーエコノミー社会への実現に寄与していきたいとの考えからです。

上記の例は一例ですが、コロナ禍という未曾有の社会危機を経験し、2年目になったからこそ、その非常事態を乗り切るだけない、ブランドとして大事にする軸からぶれない長期視点をもって、お客様への発信と、それに伴うUXづくりをしていく事が大事であると改めて思っています。

もちろん生き残ることが何よりも優先されるとは思いますが、その活動を行いながらも、長期目線での施策や発信を続ける事は差別化にも繋がりますし、お客様の選択基準にも良い影響が与えられるのではないかと思いました。

UX的観点4:長期の視点での活動がブランド資産をつくる
お客様にとって多くの類似に見えるブランドがある中で長期的な活動にこそそのブランドの大事にする価値観や立場が見えるポイントではないでしょうか。そこにブランドとしてのスタンスが見えると共感のポイントが生まれます。常に長期視点でのブランドが成し遂げたいことを忘れてはいけないと思います。

外部状況と内部対応を統合してブランドとして変化し続ける

さて、Vol.3ではコロナ2年を経て「デジタルで情報取得やオンラインでのスイーツの購買」が当たり前になってきたというお客様の変化を捉えて、「デジタルでの情報取得のための短期長期でのコンテンツ作りと発信」とテーマでお伝えしました。

3話に渡ってお送りしてきました年に一度のMinimal奮闘記ですが、いかがでしょうか?

1年を通して起こった事と、ブランドとして対応した事を赤裸々にお伝えするこの企画を通して、多くのブランドに何か少しでもお役経つ事があったなら幸いです。

今後も「お客様体験を豊かにする」という軸でMinimalが何を考えているかを赤裸々に語るMinimal Chocolate UX noteをぜひ楽しみにお待ちください。

■今回連載シリーズ「今変えるべきブランドUXの話 -コロナ1年目と2年目の違い-」
Vol.1はこちら
Vol.2はこちら

Minimalチョコレートのオンラインストア

Minimal -Bean to Bar Chocolate-
引き算の哲学から生まれた、新しいチョコレート体験を。クラフトチョコレートブランド「ミニマル」のオンラインストアです。

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